理事長ブログ

2019年02月10日
  • 第67代理事長 岩木 勇人

堺屋太一氏 逝去

偉大な作家であり、元通産官僚で経済企画庁長官も務められた堺屋太一氏が8日に83歳でご逝去されたとの一報を報道で拝見しました。

堺屋太一氏の名前を聞いて思い出すのは、NHK大河ドラマの「秀吉」です。1996年、私はまだ高校生で、当時から歴史は大変好きでしたので毎週楽しみに見ていました。ビデオに録画して何度も見た記憶があります。竹中直人の秀吉役、渡哲也の信長役などキャスティングも豪華で、また高嶋政伸演じる秀吉の弟、秀長にスポットをあてた部分も当時としては新鮮でした。いま調べると平均視聴率が30%超えた最後の番組みたいです。すごいですね。

その原作となった小説を書いたのが堺屋太一氏ということを知り、それまではテレビで経済番組や政治番組への出演が多かったので本業が作家だということを初めて知りました。その後、氏が書かれた歴史小説も数冊拝読させていただいたのを記憶しています。

ご逝去されてからの報道でもわかる通り、本当にマルチな才能をもった方です。通産官僚時代に手掛けた大阪万博では当時まだ世界的には無名だった岡本太郎をはじめ、当時30代の黒川紀章氏、磯崎新氏、コシノジュンコ氏などの抜擢、晩年は橋本徹氏の政界進出を後押しするなど若者の才能を見抜く力も非常に優れた方でした。作家としても『団塊の世代』という言葉でベビーブーム世代を表現し、後の少子高齢化にともなう社会保障制度の破綻を予言するなど、鋭い視点で一歩先の未来を見据えた著作を多数執筆されています。

工業化社会の終焉と情報化社会の到来を描いた『知価革命』やバブル崩壊後の日本を描いた『平成三十年』など、現代社会を分かっていたかのような内容で、その先見の明にただただ驚愕するばかりです。この機会に皆さまも一度、氏の著作に触れてみてはいかがでしょうか。

故人のご功績を偲び、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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